休眠預金助成事業(退所者フォローアップ支援事業②)

マスク時代のカフェが始まった!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コロナ禍が、どのくらい続くのか?
新型コロナウィルス感染拡大が収まらない状況のなかで、
6月5日開いたフォローアップ支援スタッフ連絡会議の席で、
カフェ支援スタッフが共有する悩みは、カフェで集団感染が発生してはいけないという恐れでした。繰り返すのは、来月開くか、開かないかでした。それを乗り越えたのは、「カフェを待っている人たちがいる」という一声でした。
次回、7月14日火曜日。
それまでにコロナに対応する準備を急ごう!
こうしてスタッフ一同手分けして可動式、透明度の高いフェイスフィールド、飛沫感染防止のパーテーション、丸テーブルに4人座席配置etc…。いちばん頭を悩ましたのは
長期的な「ウィズコロナ」を受け入れよう、その上で
市販のものより少しでも明るい雰囲気になるように、
カフェ支援やカウンセリング支援の目的、場所や内容を考え、金銭的には割高になるがパーテーションは特注しました。

そして7月14日火曜日14時。一番乗りはすずめさん、「こんにちは!」12時20分です。食堂の一角に座りました。「ちょっと待ってな」。まだ食事中のこと、残りのご飯をかき入れて積もる話を聴いていると「もうひとり、玄関の椅子で座っているよ」といいます。慌てて階段から玄関フロアーをのぞき込み、「上がれや」。うつのなべさんでした。こうしてカフェ支援の前座が始まりました。いよいよ開店時間になりました。本日のカフェはマスター職員が名付けた「七夕カフェ」。まず、今回の支援スタッフを紹介します。

いまは、離れていても、

こころは、あなたと共に。

今日のカフェは総勢26人でした。そのなかに在所者5人。終わるころ慌てて入ってきたピアサポーターののぶさんを含め退所した人12人。常連の少ないカフェでした。ピアサポーターののぶさん、「仕事がいま終わったの」「うん、ありがとう!」。うれしいですね。もう1人のピアサポーターけいさんは、カフェの看板を描いて席づくりを手伝って、すぐに仕事に走りました。
本日カフェ参加者の体温は平均36.2度です。みんなマスクをしてきた優等生です。みんな笑顔です。それでもいつも同伴するパートナーの愚痴を賑やかに展開する、プーさんたち2人、テーブルとテーブルを行ききして賑やかに人と人のなかを取り持ち、調子のよいときは、ハーモニカを吹くしょうさんの姿はありません。やはり常連がいない風景はさびしいですね。
それでも初参加ながらも、ときおり奇抜なギャグを入れて周りの笑いを誘う、うつのなべさん。今日は積極的で調子がいいようです。でも注意して見ると、そのギャグって自分の思うに任せない過去、現在の境遇のなかで身に付いたなべさんの無意識の攻撃ではないか? ギャグが出たときのうれしそうな笑いにふと、そう思うのです。
終わりに近づいて、1人、テーブルに所在なく座っていた、もりさんを手招きします。いま彼は疑心とうつの真っ最中。目が悲しげです。町内の人が自分の前歴を知っている。顔を合わせるときの表情でわかると、たえず目を落とします。同じテーブルのすずめさんは、うつの長いトンネルをでた自信からか、朗らか。口の重たかった、うつ時代の気持ちを話してすずめさんと楽しそうです。
3密を警戒して場合によっては30分でやめようといい合った打ち合わせ会でしたが、そんなこともなく、あっという間に1時間が過ぎました。それにしても、今、ウィズに居る利用者の人は、終わりまでいる人が少ないですね。30~40分経つと席を立ちます。それに比べて退所した人は、早くきて、遅くまで居て、準備や片付けを手伝ってくれます。これって、なぜ?

カフェって、セラピー?ケア?

 

ウィズ広島は、2000年度から3年計画で始まった、国のステップアップ・プロジェクト「21世紀の新しい更生保護施設を目指すトータルプラン」に先立ち、1995年被害者供養会、その翌年のカウンセリング導入、4年後の2000年SST、コラージュ作成会などを導入して処遇施設化を目指して、いま在ります。だが、当時それはセラピー? ケア?と区分けして考えたことはありませんでした。カフェで支援を始めるようになって退所者フォローアップ支援に、セラピーが入り込めるのか? 疑問があります。
先に、カフェで「利用者の人は、終わりまでいる人が少なく、30~40分経つと席を立ちます。それに比べて退所した人は、早くきて、遅くまで居て、準備や片付けを手伝ってくれます」といいました。これって、SST(社会生活技能訓練)に代表されるように施設利用者を「社会生活に適応させるための指導」する職員の無意識な行動がストレスになって、施設利用者は「居るのがつらい」無意識の行動になるように思うのです。
それに比べて退所した人には、フォローアップ支援なかんずくカフェで支援には、気を楽にして居れる場所のように思うのです。もともと、更生保護施設はケアによって成り立った歴史をもっています。歴史の読み直しが必要のようです。

データは/語る、

退所者フォローアップ支援

■ フォローアップ支援拠点スタッフの配置
新型コロナウィルスの感染拡大で出鼻をくじかれた退所者フォローアップ支援ですが、4月、5月、6月の3か月間の実績をデータによってたどってみましょう。フォローアップ支援の目玉は人。まず二兎を追う者は一兎をも得ずのことわざに学び、フォローアップ支援の拠点スタッフとして非常勤ながらフォローアップ支援員、併任補導職員を採用して配置しました。また、国が行うフォローアップと休眠預金活用による実験的退所者フォローアップ支援とダブル複雑さがあります。そのためフォローアップ支援が分かりにくく、一般補導員もフォローアップ支援員もいまは試行錯誤しています。最終的には、2つのフォローアップ支援の整合が課題です。
■ 退所後へウォームアップ支援の重要性
退所後のフォローアップ支援は、在所中からの利用者とケア的関係をきずくことから始まるという観点から退所後のフォローアップ支援に向けたウォームアップ支援を「予備面接」とし、そこから始めています。その結果、3カ月の総計は16人。月ごとに予備面接人数が増えています。順調に進んでいます。しかし、拠点とする支援員の予備面接が16人中、12人です。予想通りです。以下、データによって個別的に見ていきます。
■「来所相談」172人。3か月実人員100人、延べ人員172人、1か月平均57人です。来所相談は一般補導員も健闘しています。声をかければ「おう!」と応えてテーブルに座る。
■ 国がいわれる退所後の薬物等使用障害からの回復プログラムを行う「通所処遇」は0人です。
■ 支援員や一般補導員が行う「居宅訪問」0人。コロナウィルス感染危機という背景を考えるとうなずけます。
■「電話による安否」は41人に対して69回。やや補導職員が優勢です。退所した人との在所中からの人間関係が、フォローアップ支援上、有効に機能しているのが分かります。でも支援員の活動が軌道に乗ると、どのように変化するか、楽しい課題です。
■「手紙による往信」は17人。4月は退職、採用、それにコロナ感染拡大でテレワークなど施設の現場から日常の姿が消え、手紙を書くというゆっくりした時間がうまれなかったでしょう。手紙による働きかけは、居宅にひきこもって孤立化している人への大切なフォローアップ支援でしょう。
■「心理相談・カウンセリング」も、職員異動やコロナ感染拡大の影響を受けています。4月は0人ですが、5月9人、6月10人。3月までのカウンセラーがスクールカウンセラーへ移動したことを考えると、まず順調な滑り出しと考えています。
■ それにしても、退所後に「カフェで支援」「カウンセリング支援」「生活相談支援」などのフォローアップ支援対象の人々は圧倒的に心身不調の人が多く、非正規雇用で働く一方で、そのほとんどが一部もしくは全面的に生活保護を受給しています。ピアサポーターののぶさん、けいさんもその一人です。この現実をどのように考えるか、フォローアップ支援の継続的な検討課題にしたいと考えます。2020.7.21

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