休眠預金助成事業(退所者フォローアップ支援事業③)
退所していても、こころは、ウィズ広島に…
11月、コロナ時代の不安のなかにもカフェの準備をしていると、半月ばかり前に退所したキョンさんが、ひょっこり顔を見せました。
在所していたとき、喧嘩をした隣室のハラさんと顔を合わせたくないようです。
支援員のSさんが気を利かせて私を呼んでくれました。
一階交流ルームにつづくカウンセリングルームで半月ぶりの近況を確かめ合いました。
「一人の生活はつらい。今までは、気持ちに負けてすぐ薬物を使っていたけど…。
近くに住めば、何かのときはすぐ会える。
寂しさに負けずにすむと思って500メートル先の店の裏通りに住んでいる」
といって笑いました。
「うん、これからは、職員のトマさんか、Sさんに電話して(けんか)相手がいないと確認しておいで…」。
12月はお茶カフェとえ~ぞうカフェと餅カフェと3回あるよ。
男手が足りん。場所づくりを手伝ってほしいと誘うと「喜んで!」と快諾しました。
帰りに支援員のSさんから生活費を切り詰めるため自炊生活をしていると
いうキョンさんが、古米ながら小袋に分けたお米を少しもらっていました。
ピアサポーターとしてキョンさんは期待できる!
役割から言えば、場所づくりや片付け、物品搬送の裏方さんかな?そんなことを繰り返していると、その先はピアサポーターだらけになるなと、ひとり夢見ています。でも、それって究極のカフェじゃないだろうか。敷居の低い、あるいは、ない、ウィズ広島での役割を分かち合う、シェアリングケアを目指すと思えるからです。
コロナ禍は、とどまるどころか拡大をつづけて
北海道、東京、大阪などを中心に第3波がきているといわれています。そんななか、8月、9月、10月、3か月間のフォローアップ支援のデータを読み解いてみます。
もともと、自然発生的にときおり訪ねてくる退所した人の何気ない日常のよもやま話、コーヒー、ありあわせのスナック菓子を提供しての出来事が少しずつ夢をもち、コーヒーカフェから地域ボランティアの参加で抹茶カフェが定着し、テレビ番組のドラマ名場面などのえ~ぞう(映像)カフェ。そしてロス食品を活用するふらっとカフェ。
日頃から施設にいる間に悩みごとなどを聴いてもらい、退所後も引き続いて来所し、カウンセラーとの相談面接、カウンセリングへと発展しました。そのかかわりを通して私たちのもとを退所した後も大きな不安や悩みに心が折れることなく、私たちとの関係のなかで不安や悩みと向き合ことができ、自律への歩みを進められるのだと思います。それはまた、再犯をしない一歩を進めたといえます。
このたびの休眠預金活用プロジェクトへの参加は、この退所した人への支援を自然発生的段階から目的をもつ意図的段階へと拡充していこうとするものです。
2020/12/29
geg